ネパール被災障害者支援報告(5/29~31)

5/29日から当会のハビブがネパールを訪問してきました。下記にレポートを掲載いたします。

 

2015年5月29日

CILカトゥマンドゥの事務所を訪問し、CILのスタッフ数名と会い、お互いに自己紹介をしました。その後、ジャウラケルの障害者キャンプへと移動し、2015年の地震以降、ここのテントに宿泊している障害者全員と会いました。そこでは、お互いに自己紹介をし、私からは2005年にパキスタンが大地震に見舞われた際のことを話し、マイルストーンがパキスタンの地震の際に、障害者に対してどのような救援活動を実施したかを伝えました。CILは、障害者の問題を政府、市民組織、政治家等に気付かせる上で、最も重要な役割を果たします。

キャンプでは、ネパールの障害当事者運動に関わる有名人たちのほとんど全員に会うことができました。中には、地震の後自宅が損壊したため、キャンプに住んでいる人もいます。
CILカトゥマンドゥの代表ガネシュKC、CILのクリシュナ・ラジ・チャウダリー、NAPDのキラン・シルパカールと彼の妻ラマ・ダカルです。
私たちは、現在の状況と、今回のネパールの地震で新たに障害者となった方々に車いすを提供する可能性について話し合いました。その後、CILのガネシュKCとクリシュナ・チャウダリーと共にNSCISAを訪問し、脊椎損傷のグループのキショル・バハドゥル・シャヒ、リシラム・ダカル、ガヤトリ・ダハル、ソニカ・ダカル、デヴィ・アチャリヤと打合せしました。そこでは、ネパールで車いすを製造する可能性について、幅広い議論が繰り広げられました。

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その夜は、クリシュナ・チャウダリー、ガネシュとともにカトゥマンドゥ・ニューバレシュワールで夕食をとりました。この夕食は、ラマとキランがアレンジしてくれました。ここでは、現況と他の国際NGOがどのような活動を行っているかについて話し合いました。

 

2015年5月30日

ハンディキャップ・インターナショナル(HI)ネパール代表のプスパック・ネワールと、障害当事者組織のリーダーであるキラン・シルパカール、ガネシュKC、クリシュナ・チャウダリー(訳注:写真にはディパックKCの姿も)とともに打合せを持ちました。
障害者の状況、ネパールの地震について、HIとその他の当事者組織が実施した救援活動について話しました。また、将来的にHIと障害当事者組織がどのように協働していけるのかについても話し合われていました。

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車いすワークショップの訪問

ラメシュ・ネパリによる私設のワークショップを訪問しました。
CILカトゥマンドゥは、2013年からアルミ製のアクティブモデルの車いすを製造しています。CILはこれまでに、このワークショップで36台のアルミ 製の車いすを製造しました。ハビブは、このワークショップの状態と生産能力等について、より多くの情報を収集しました。

また、大学病院を訪問し、2015年4月25日の大地震で負傷した人々に会いました。

さくら車いすプロジェクトから贈られた車いすが、ディペンドラ・シャキャさんに届けられました。彼は車いすを受け取りとても喜んでいました。

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2015年5月31日  これからの活動の計画

1. ネパールにおける車いす支援(JILの支援)
2. 次のステップ
• ネパールで車いすを製造する
• 日本とパキスタンから技術支援する
•国際NGO会議(復興と再開発における障害者の役割を強調するため)
•シェルターハウス(訳注:上記「障害者キャンプ」のこと)の継続(限られた救援の中でも自立生活運動が可能である、ということの理解を広める)

 

行動計画1
• JILの支援でパキスタンから車いすを支援する、またはネパールで車いすを製造する。
• ネパールにおける車いす製造の可能性について、さくら車いすプロジェクトが調整役となる。
• 車いすは、CILカトゥマンドゥと脊椎損傷スポーツセンターとで分配される。50%はCILカトゥマンドゥによって配られ、残りは脊損センターが配ることとなる。
• 車いすシート、トイレ、ウロバッグ等その他の物資も、CILにより地震の被災者に配られる。
• もし、車いすやその他の支援が必要となった場合、JILは努力する
•車いすをどこの誰にどうやって配布するかの最終的決定はCILカトゥマンドゥが行う
• JILはネパールを最大限支援したい
• JILは地震の被災者のデータが必要である。それがあれば、車いすやその他の物資のための資金が得やすい
•  必要なものがあれば、要求しなければならない
• CILカトゥマンドゥは、より多くの情報をJILに提供し、JILはそれに従う

次のステップ

ネパールにおける車いすの製造
日本とパキスタンからの技術支援
国際NGOの会議
シェルターハウスの継続

 

ネパールにおける車いすの製造の可能性についての協議

1. パキスタンの技術者がネパールへ来て、例えば200台の車いすを製作しながら、CILネパールの人員を研修する。これが、ネパールで車いすを作る迅速なプロセスである。
2. 日本の技術者がネパールへ来て、研修を行う。ネパール人がネパールで車いすを作る。
3. 何人かがパキスタンへ行き、車いすの研修を受ける。彼らがネパールへ戻って車いすを製造する。これは長期的なプロセスになる。

 

シェルターハウス

CILは、ジャウラケルの青少年クラブに属するシェルターハウスを継続する。
クラブは、このキャンプの設立を良く思っていない。このため、CILは公共の土地または貸し地を探して、そこへキャンプを設立しようと考えている。
この活動は、今後地震の被災者が部屋や家を見つけるまでの間3ヶ月に渡り継続される。

CILは、このシェルターのための土地を獲得するべく、政府に対してアドボカシー/ロビー活動を定期的に行っている。その他にも、政府に対し以下のものを要求している。

救援・シェルター、救済・リハビリテーション・サービス、地域における自立生活

CILは近日中に国際NGOの会議を開催する予定である。
会議の目的は、国際NGOが何に対してどのように支援をするかについて幅広い議論を行うことである。また、障害者にとっては、施設ではなく自立生活が必要だ、ということに意識を向けることも目的の一つである。

CILは、国内NGOと国際的なNGO、国際社会に対し、ネパールの障害者の救援・シェルター、救済・リハビリテーション・サービス、地域における自立生活を支援するために、CILを支援して欲しいと呼びかけている。

カトゥマンドゥ大学には車いすを製造する機械のあるワークショップがあるため、CILは同大学の運営陣と協議し、ネパールで車いすを製造する可能性を模索する予定である。
CILはまた、ネパールにおける障害に優しいインフラの新設について、定期的にアドボカシーのキャンペーンを実施する予定である。

この文書は、クリシュナさんとハビブ・ウル・ラフマンが共同で完成させました。

 

メモ:CILカトゥマンドゥが独自のオフィスを持ち、強いイメージと状態で業務を続けていることは、とても重要だと思いました。
私は、自立生活運動の関係者の皆さんに、支援の可能性を検討するよう懇願します。
南アジアの文化では、人々は強いグループの意見を真剣に聞き、その見解を理解しようとする傾向があります。今こそ、ネパールの自立生活運動がその声を最大限に強める時なのです。(ハビブ)

以上

翻訳協力:大野純子さん(沖縄県自立生活センター・イルカ)