●はじめに
障害者の協会であるSAAYAは非営利に障害者を支援するクロスディスアビリティーな組織であります。自己決定や地域包括などの新たな機会を通じて、彼らが自信の潜在能力に気が付くことを可能にします。当協会では障害者の尊厳を伴った社会的地位の向上に向けて働きかけています。SAAYAは情報コミュニケーションや自立生活、インクルーシブ教育にバリアフリー、そして権利がベースとなる社会を目指して働きかけています。

 

●ワークショップ:手動・電動車いす修理、三輪スクーター
パキスタンを含む発展途上国の障害者の80%以上が、地方に孤立して生活しています。世界保健機構(WHO), 世界銀行(WB), 国連(UN)はまた、発展途上国の障害者の割合は15%程度であると示唆しています。1998年の国勢調査によると、障害者の人口は3,286,630人でこれはパキスタンの総人口に対して、その割合は2.49%となっています。またベースライン調査以降には以下のことが明らかになりました。それは、イスラマバードとラワルピンディの障害者は、資源や教育そして適切な健康機関へのアクセスの術をもっておらず、移動を補助する手段も、社会参加の機会も無く、その上収入を得る活動にも参加できずにいるということでした。
SAAYAは自立生活センターと、手動・電動車いすの修理、そして三輪スクーターのワークショップをスタートしました。当協会は中古電動車いすを日本のさくら車いすプロジェクトから受け取っています。(このプロジェクトはMilestoneの援助と共にあります)。パキスタンにおいて車いすは、医療サイドの製造者や供給者によって製作されており、修理の機関はありませんでした。(本ワークショップと自立生活センターは障害当事者によって運営されています)。そしてこの電動車いすはSAAYAモビリティワークショップによって修理され、生活の苦しい人或いはこれを受け取るに値する障害者に分配されます。

 

~電動車いすを受け取った後の詳細~

★Mr. Fayyaz Yousuf

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Fayyaz Yousufさんは42歳の男性です。彼は化学の専門家であり、薬剤の品質チェックマネジャーとして素敵な人生を歩んできました。不運なことに、2008年の交通事故によって彼は下肢を失い、頸椎損傷を負うこととなりました。事故後、彼は非常に惨めな生活を送っていました。そこには彼をもう一度人生に連れ戻すように刺激する人もありませんでしたし、車いすを使って生活することに彼を導くような人もありませんでした。SAAYAのAsim氏は2014年の7月20日にFayyazさんに出会いました。それはとても励みとなる出会いとなり、最初のミーティングから約3時間で、Fayyazさんは別人のようになりました。最終的に彼は、さくら車いすプロジェクトから電動車いすを提供されました。この電動車いすにより、彼の行動範囲は大きく広がりました。今やFayyazさんは車いすを利用してとてもよい暮らしを送っており、ご家族もさくら車いすプロジェクトに大変感謝をしています。SAAYAは人ひとりの人生を変えたのです。

 

★Mr. Sayyad Khan

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Sayyadさんはとても献身的な障害者運動家でありました。ポリオを発症してからの5年間に彼は運動に深く関わり、自身の障害者団体である、“Sayyad Welfare Association”をMardan地方に設立しました。このような地方にあっては、移動というのは彼にとってとても難しい問題となり、そのため彼の活動は地元の範囲内に限られました。その後、彼の運動におけるたゆまぬ努力が認められ、SAAYAのオフィスに招かれることとなり、さくら車いすプロジェクトから電動車いすを送られました。この車いすを手にしてからというもの、彼の移動は確実なものとなり、活動は飛躍的に向上しました。

 

★Mr. Usman Bin Nayyar

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Usmanさんは、ここ2年間で我々の貴重なメンバーとなりました。彼は数学と統計の双方において教育を受けています。彼がSAAYAに入った当時、生活をそこまで楽しめておらず、生活の大半を彼自身の足でカバーしなければならないことに、ガッカリしていました。そんな中、筋ジストロフィーの進行に伴い、最終的には車いすを使用し始めました。Usmanさんに送られたその車いすこそが、さくら車いすプロジェクトが私たちに送ってくれた最も素晴らしいツールの一つなのです。彼は自分自身で買い物に出かけるなど、車いすによってすばらしい生活を得ています。当協会の立派なロールモデルとして、彼は障害者運動に多大なる貢献をしています。

 

★Mr. Faisal Nadeem

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Faisalさんは45歳、専門技能をもった教師であります。また彼はラワルピンディで大変人気のある教育施設を運営してもいます。背中の痛みを取り除く際の施術ミスで、彼の下肢は完全に感覚を失い、頸椎損傷と診断されました。それからというもの彼の42年間の生涯は全くの暗いものとなってしまいました。障害を受け入れるということは、彼にとって大変難しいことであり、彼は人生に対する希望を失っていました。このような惨めな時間を過ごしていた頃、当協会のAsimが彼に会いに行き、人生に向き合うように助力をしました。彼は大きな体格なため、移動に関してとても心配していましたが、障害者運動に対する彼の関心が認められた後、彼の体に合わせて修繕された電動車いすが送られました。過去二年間を通して、今やFaisalさんはSAAYAのとても熱心な活動家の一人でありますし、障害をもった仲間たちへの自立援助をも行っています。我々はSAAYAの希望として彼を誇りに思います。

 

★Mr. Muhammad Karamatullah Khan

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Karamatullahさんはバルチスタンに拠点を置くHelpful Organization for Special talent HOSTという障害者団体のリハビリ部門の役員でした。そして数年前に交通事故の結果四肢麻痺になったということを医師から告げられました。障害をもってからというもの、彼は真に深い人権運動家となりましたが、移動というものは彼のもっとも大きな問題の一つでした。彼の運動の重要性を受け止め、さくら車いすプロジェクトを通じて電動車いすを提供しました。これ以降、彼の仕事は以前よりも一層豊かになりました。その障害がどれだけ重度であっても、このような機器を心待ちにしている人々がたくさんいるのです。

 

★Ms. Sumaira Tabbassum

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Sumairaさんは専門技能をもった教師であり、国立大学の修士課程で上位の成績を収めております。彼女とその兄弟とは筋ジストロフィーをもっており、そしてその症状の進行に伴って生活に困難を伴っておりました。彼女は4年以上も前からSAAYAの大変活動的なメンバーでありましたが、とりわけ通学において、また彼女の障害が日増しに重くなるにつれて、移動というものは大きな問題のひとつでありました。そこでSAAYAはさくら車いすプロジェクトの支援を受けて電動車いすを彼女に提供しました。すると彼女の問題は改善しました。この彼女の物語は、SAAYAの活動に寄与するのみならず、パキスタンの障害者運動にも貢献をし、女性障害者の一翼を担うものであるのです。

 

★Mr. Israr Ahmed

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Israrさんは人気テレビ番組のベテランカメラマンであり、大変素晴らしい仕事をされていました。不運なことに、交通事故により彼は頸椎損傷を負い、下肢に麻痺を負ってしまいました。この事故からというもの、彼の人生はとても厳しくなり、ついには職を失ってしまいました。そんな折に彼はSAAYAのことを知り、コンタクトを取り始めました。「もう一度働きたい、自由に動きたい」という彼の強い希望により、さくら車いすプロジェクトを通じて電動車いすが提供されました。これ以来、彼はカメラマンとして働き続けながら、お子さんたちと一緒に暮らしています。

 

★Mr. Muhammad Javid

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Muhammadさんはご家族と一緒にイスラマバードにお住まいであり、彼の奥さんとお子さんは、ここ数年重度の筋ジストロフィーに悩まされてきました。お手洗いや着替えなどの生活行為が、障害によって難しく、そして移動の術がないために生活の多くの時間を家の中で過ごしていました。SAAYAのAsimi氏は彼を勇気づけ、エンパワメントするために訪問し、電動車いすを提供しました。その結果、彼の自立生活や、毎日の出勤は可能となりました。

 

★Mr. Saleem Akhtar

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Saleemさんは36歳の男性で、幼少の頃から筋ジストロフィーという障害です。彼は両親のたった一人の子どもだったため、両親はもちろんいとこも彼のことを常に気遣ってくれました。しかしいかなる施設でも、彼の入所の許可が下りなかったため、イスラム教学校―ここは彼がコーランを修めたところでもあります―が、彼の入学を許可しました。そうして、悲しいことではありますが、彼の両親は亡くなってしまいました。両親の没後、彼の生活は困難を極めました。このためSaleemさんは、外出することや生活を設計することに対して、いつでも強い希望を抱いていました。彼は筋力の衰えによって手動車いすを使用することさえできなかったので、移動の問題はいつも主要な事由であり得ました。そんな中、いくらかの紹介やアセスメントを通じて、彼はSAAYAに連絡をし始めました。そして彼が身体の快適さとその必要性から、彼は電動車いすを入手しました。それからというもの彼の行動範囲は広がり、お父さんから受け継いだ耕作地へも外出できるようになりました。

 

★Mr. Muhammad Usman

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Muhammadさんは大変勉強家な青年であり、Peshawar大学において経済学修士を取得中です。彼はいつも行動的でありかつ、コンピュータやモバイル機器の扱いがとても得意です。彼は筋ジストロフィーをもっているので、時とともに筋力が衰え、今では手動車いすを操作することができません。しかし、彼の働くことと学問に対する強い気持ちは、大変立派なものでありました。ソーシャルメディアを通じて、彼はSAAYAにコンタクトをとりました。そして、必要なアセスメントを受けた後、彼は自身にあったタイプの車いすを手にするに至ったのです。

SAKURAの多大なるご尽力に感謝申し上げます。